よく頑張った!
広陵高校、よく頑張った。
上本君のホームランで幕を開けたときは、いいじゃんって思ったけど、やはりそこは甲子園、魔物はいろんなところで牙をむいた。結局は流れが戻ってこなかったのが残念。最後はパワーで広陵を引っ張ってきた、上本君のセンターフライで、広陵の夏は終わった。
土があり、芝生があって、空があり、風がある。
主審がプレーボールを告げる。あのサイレンがこだまする。
ピッチャーが第一球を投じる。
そうして始まるゲームは、いつも一篇の物語だ。
まだ誰も書いたことがなく、読んだことのない、まっさらな物語だ。
一投一打。そのすべてに意味があり、思いがある。
ストライクとボール。セーフとアウト。一つのプレーの間で、つねに勝敗の行方は揺れつづける。
ゲームは、プレーするものにも、見守るものにも、一度きりの、
一瞬一瞬の連続。
また、あの夏が来る。見逃せない物語を連れて、ただ一度の夏が来る。